Vol.1 まずはエフェクターの種類を知ろう

色々なタイプのエフェクター画像

エフェクターにはギターサウンドを変化させる様々な種類の機材があります。まずはそれぞれの種類と効果についてできるだけ簡単に説明します。

歪み系

アンプのボリュームを目一杯上げると音が歪んできますが、そんなに大きな音を出すと大変なことになりますよね。そこで、その歪んだ音を機械的に造り出すのが歪み系のエフェクターです。
音が割れて聞こえたりザリザリしている音の場合は、主に歪み系のエフェクターが使われています。人によってはアンプで歪ませている場合もありますが、今回はエフェクターに限って解説します。
歪み系には大まかに3つのタイプが存在しますが、ザリザリしたサウンドに変化させる効果は同じです。歪み系のエフェクターはギタリスト必携のエフェクターと言って良いでしょう。

オーバードライブ

オーバードライブは他の歪み系エフェクターに比べると歪み方は少しマイルドです。軽くかけて音を太くしたりするブースターとしてもよく使われます。
代表機種
BOSS Super Overdrive SD-1, BOSS Blues Driver BD-2, IBANEZ Tube Screamer TS-9など

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ディストーション

オーバードライブよりも荒くざらついたサウンドが特徴です。セッティングによって、ロングサスティーンの効果が得られるのも大きなメリットです。またメーカーによって独自のサウンドキャラクターを持っています。
代表機種
BOSS Distortion DS-1, PROCO RAT2, PROVIDENCE Heat Blaster HBL-4など

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ファズ

上記の2つより激しく歪むので、かけ過ぎるとただのノイズになってしまいます。また、内部の回路は基本的にシリコン製のトランジスタですが、ゲルマニウムトランジスタを使用して、60年代のサウンドを再現したものもあります。シリコン製は入手しやすいのですが、ゲルマニウムを使ったものより毛羽立った感がありません。
代表機種
Jim Dunlop JDF2 FUZZ FACE, Electro-Harmonix Big Muff Original, BOSS FUZZ FZ-1Wなど

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ブースター

ブースターは主にギターソロの時など、目立つように音を前に出したい時に使われます。曲中でもサビの部分とか、プッシュしたい時に使用します。音量を上げるだけでなく、音に艶っぽさが出るため掛けっぱなしにして使う人もいます。
代表機種
XOTIC EP Booster, Suhr Koko Boost, XOTIC RC Boosterなど

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ダイナミクス系

ダイナミクス系は小さな音を持ち上げ、大きな音を圧縮することで音の粒をそろえたり、サスティーン(音の伸び)をコントロールするエフェクターです。音色を変化させるような効果ではないので分かりにくいかもしれませんが、最終的な音を整える意味では重要な役割を持っています。

コンプレッサー/リミッター

ピッキングしてから音が消えていくまでの時間軸をコントロールします。ピッキングした瞬間の音の立ち上がりを「ATTACK/アタック」、その後一定の音量まで下がるのを「DECAY/ディケイ」、減衰した音を保つ時間を「SUSTAIN/サスティーン」、最後に音が消えるまでを「RELEASE/リリース」と言い、「THRESHOLD/スレッショルド」で圧縮を開始する音量レベル、「RATIO/レシオ」でどの位圧縮するかを決めます。
代表機種
MXR Dyna Comp, Providence Velvet Comp VLC-1など

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モジュレーション系

モジュレーション系は音を揺らす効果のあるエフェクターです。「位相」「音量」「ディレイタイム」というものが大きく関係しており、それぞれ特長的な揺れを表現できます。

コーラス

原音に約0.01秒遅れた音(ディレイタイム)や、僅かにピッチのずれた音を混ぜることで音に揺らぎを与え、透明感や広がりを演出するエフェクターです。主にクリーントーンでのバッキングやアルペジオなどに使用します。ステレオ出力の機種もあり、2台のアンプにL/R出力を接続するとさらに左右の広がりと奥行き感のあるサウンドを得ることができます。
代表機種
BOSS Super Chorus CH-1, STRYMON Ola Chorus, Providence Anadime Chorus ADC-4など

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フランジャー

過激な「ジェットサウンド」を生み出すエフェクターです。コーラスと同様に入力された音声信号を遅延させることで、ウネるようなサウンドを作り出します。ツマミを調整することで柔らかい音や、金属的な音を作ることもできます。
代表機種
BOSS FLANGER BF-3, MXR M-117R, MXR EVH117 Frangerなど

フェイザー

フェイザー(フェイズシフター)は原音に「位相」のズレた音をミックスすることで、シュワシュワとしたサウンドを作り出すエフェクターです。フランジャーと少しサウンドは似ていますが、フェイザーが「位相」を利用しているのに対してフランジャーはコーラスと同じく「ディレイタイム」で効果を生みます。
代表機種
MXR Phase90, BOSS Phase Shifte PH-3など

トレモロ/ビブラート

トレモロは音量を周期的に上げ下げするエフェクター。音量を上下させることで音が断続的に聞こえるのが特長。ビブラートは音程を周期的に変化させて揺らす効果を得ます。軽くかけることでアルペジオや穏やかな雰囲気の単音弾きに向いています。逆に過激にかけるとマシンガンの様な効果を得られます。
代表機種
BOSS Tremolo TR-2, STRYMON FLINTなど

空間系

音の広がりや奥行き感を出すためのエフェクター。ディレイは「やまびこ」のように音が遅れて聞こえてくる効果。リバーブはカラオケでいうエコーのような効果を得ることができます。

ディレイ

弾いた音が短い間隔で数回鳴る「ショートディレイ」、ギターソロや緩やかなアルペジオなどに効果的な「ロングディレイ」、極端に短く鳴らして二人で弾いているような効果を狙う「ダブリング」が設定できます。
代表機種
BOSS Digital Delay DD-3T, MXR Carbon Copy, Strymon El Capistanなど

リバーブ

音の残響を作るエフェクターです。ホールや体育館で手を叩くと音が鳴り響くのと同じような効果が得られます。アンプに搭載されている場合もあります。
代表機種
BOSS Reverb RV-6, TC Electronic Hall Of Fame, Strymon BlueSkyなど

フィルター系

全ての音には周波数があり、ある一定の帯域をブースト/カットしてサウンドを変化させるのがフィルター系のエフェクターです。アンプのTREBLE,MIDDLE,BASSコントロールもフィルターの一種です。
設定によっては色々な使い方ができますが、主に最終的な音質調整や補正のために使われます。

グラフィックイコライザー

機種により調整できる周波数の数が違いますが、主に100Hz〜200HZが低音域、300Hz〜800Hzが中音域、1.6kHz以上が高音域です。レベルをあまり上げすぎるとハウリングを起こしたりノイズが増えるので、注意しながら狙ったサウンドになるように調整します。
代表機種
BOSS Equalizer GE-7, MXR M109S 6 Band Graphic EQ, MXR M108S 10 Band Graphic EQなど

パラメトリックイコライザー

周波数帯域の幅とレベルを調整できるようにしたイコライザーです。周波数帯域とレベル調整が見た目で分からないため、グラフィックイコライザーに比べると操作が難しいです。
代表機種
VOCU Parametric Equalizer, Empress Effects ParaEQなど

ワウ

フットペダルを上げ下げすることで自在に周波数を変化させることで「ワウワウ」と聞こえるエフェクター。バッキング、ギターソロどちらでも使えます。一定のタイミングで変化するオートワウや、ピッキングの強弱で変化させるタッチワウというのもあります。ワウは接続の順番で効き方が変わってくるので好みの接続順を試してみてください。
代表機種
VOX V847-A, JIM DUNLOP GCB-95 CRY BABY, BOSS Dynamic Wah AW-3など

その他

他にも様々な効果をもたらすエフェクターがあります。

オクターバー

原音の1オクターブ下、または2オクターブ下のサウンドを重ねて単音で出力するエフェクターです。近年ではオクターブ上の音や和音に対応した製品もあります。主に単音で弾くリードプレイに適していて、バンドアンサンブルに厚みを持たせる事もできます。
代表機種
BOSS Super Octave OC-3, ELECTRO HARMONIX Nano POG, TC Electronic Sub N Up Octaverなど

ピッチシフター/ハーモナイザー

ピッチシフターは原音に対して3度上、5度下、8度(オクターブ)上の音をミックスしてくれます。一方ハーモナイザーは曲のキーに合わせて重ねる音程を設定でき、フレーズに合わせて自動でハーモニーを生成してくれます。一人でツインリードを弾いたりすることもできる便利なエフェクターです。
代表機種
BOSS Harmonist PS-6, Eventide PITCH FACTORなど

ワーミー

フットペダルの踏み具合によって音程を変化させるエフェクターです。例えばトレモロアームが付いていないギターでも、アーミングした時のようなプレイが可能になります。また、音程を細かく設定できるのでハーモナイザーとしても活躍します。
代表機種
Digitech Whammy 5, Morpheus Bomberなど

リングモジュレーター

リングモジュレーターはギターからの入力信号に、様々な周波数を混ぜて音を造るエフェクターです。低い周波数を加えたトレモロの効果から徐々に不協和音へ変わっていき、金属的な音を含むシンセサイザーのような幻想的なサウンドへと変貌します。
代表機種
Subdecay Vitruvian Mod, Electro-Harmonix Ring Thingなど

バッファー

通常のピックアップは「ハイインピーダンス」という非常に微弱な電気信号で出力されます。そのため外部からの影響を受けやすく、ケーブルからアンプに行くまでにはかなり音質が劣化してしまいます。また、いくつものエフェクターを接続すると段々と信号が劣化していき、高音域が削れてこもった音になっていきます。バッファーはその微弱な信号を「ローインピーダンス」に変換し、太くノイズに強い信号に変える効果があります。
代表機種
Providence Vitalizer VZW-1, One Control Minimal Series BJF Bufferなど

ルーパー

ルーパーは一度弾いたフレーズを記憶し、それを何度か重ね合わせることで様々な効果を狙うことができます。機種により録音できる数や時間が異なりますので、自分がやりたい内容によって機種を決めると良いでしょう。
代表機種
TC ELECTRONIC Ditto Looper, BOSS Loop Station RC-3, Free The Tone Motion Loop ML-1Lなど

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