Vol.4 ファズの基礎知識

FUZZイメージ

ファズにはオーバードライブのような歪みのものから、非常に過激に歪むものまであります。また1960年代のサウンドを再現するために、内部の回路にゲルマニウム・トランジスタを使っているものと、現代でも入手しやすいシリコン・トランジスタを使っているものがあります。

トランジスタによる違い

ゲルマニウム・トランジスタ
ゲルマニウム・トランジスタは温度によって音が変化する事があり、気温や湿度によりサウンドが安定しないというデメリットがあります。またパーツ自体のコストが高く、製品も高額になりがちです。
一時期は生産されていなかったものの、低音域から中音域にかけての荒々しいサウンドに魅了されるアーティストが多く、最近ではゲルマニウムを使用したファズもよく見かけるようになりました。

シリコン・トランジスタ
シリコン・トランジスタは入手しやすく、温度にも左右されずに安定した動作をするので、ゲルマニウム・トランジスタと比べると弱点が少ない素材です。高音域が強調された深い歪が特長で、ボリュームコントロールの反応も繊細なので、ギター側のボリュームを絞ればクリーンからクランチまで幅広い音作りが可能です。

ファズの接続順

他の歪み系と同様に、通常は一番最初に接続します。特にゲルマニウムファズはハイインピーダンスのものが多く、一番最初に接続しないと効果が薄れる場合があります。ワウを併用したい時は接続順を試したり、間にバッファーを接続するなどの対策が必要です。
ギター → ファズ → アンプ
または ギター → ワウ → バッファー → ファズ → アンプ

主なコントロール

LEVEL/VOLUME: 全体の音量をコントロールします。OFFにした時との音量の差があまり無いように調整します。ファズは音量が小さめになる事が多いので、大きめの設定になっても故障ではありません。
FUZZ: 歪みの量をコントロールします。機種にもよりますが、上げていくと潰れた音になってギターサウンドとして成り立たなくなることもあります。それを狙う場合もありますが。
TONE(Treble/Middle/Bass): 音質をコントロールします。TONEのみの場合は全体的に明るくしたり、こもらせたりします。Treble/Middle/Bassのコントロールがある機種はそれぞれの帯域をブースト/カットします。

定番のファズ

Electro Harmonix/Big Muff Original

Big Muff画像

Electro Harmonix社の代表機種。1969年の発売当初から現在まで、多くのアーティストに使用されている定番のファズです。何度かモデルチェンジが施され、バリエーションもいくつか存在しますが、このモデルは3rdバージョンのルックスにLEDが付いたモデルです。どちらかというとディストーション寄りの歪みで、ノイズが少なく、ロングサスティーンが特長です。ピッキングニュアンスにも繊細に反応します。

Jim Dunlop/JD-F2 FUZZ FACE

Jim Dunlop Fazz Face JD-F2

ファズ全盛期のサウンドの要だった「Dallas-Arbiter Fuzz Face」を再現したモデルです。ゲルマニウム・トランジスタを使用し、低音域を強調した暴れるようなサウンドと、暖かみのあるビンテージファズのサウンドです。ギター側のボリュームへの反応も良く、クリーンから潰れたようなディストーションサウンドまでコントロールできます。
9V電池でのみ動作可能。ACアダプターの端子はありません。

Roger Mayer/Classic Fuzz

Roger Mayer Classic Fuzz

ロジャーメイヤーが、ジミヘンドリクスのために開発したモデルそのままの回路を使用しているファズです。豊かな倍音と滑らかで温かみのある丸いトーンが特長です。
他にも「Visage」「Axis」「Mongoose」など、Classicモデルを基本としながら、モダンなサウンドにチューニングされたモデルを選ぶことができます。

BOSS/FUZZ FZ-5

BOSS FZ-5画像

Fuzz Face、Big Muff、Octaviaをモデリングした、ニュアンスの異なる3タイプのファズサウンドを切替可能。FUZZコントロールノブが12時を超えるとBOOSTエリアとなり、オリジナルよりもレンジの広い強力なファズサウンドが得られます。ノブの設定や入力信号の違いによる挙動変化も再現しており、ギター側のボリュームコントロールだけで、クリーンからダーティーなファズサウンドまで自在に操れます。

おすすめのファズ

Jim Dunlop/FFM 2

Jim Dunlop FFM2画像

ファズフェイスをミニサイズにしたモデルです。ゲルマニウム・トランジスタの「FFM 2(写真)」の他、シリコン・トランジスタの「FFM 1」、ジミヘンドリクスのファズを再現した「FFM 3」、アグレッシブなファズサウンドの「FFM6」がラインナップされています。
オリジナルの円形ルックスを極限までコンパクト化し、現代の環境に合わせてACアダプターも使用が可能になっています。

BOSS/Tone Bender TB-2W

BOSS TB-2W画像

1960年代に登場した伝説的なファズ“Tone Bender MK2”をSola SoundとBOSSのコラボにより完全再現。3段階の電圧切替えによるトーン、レスポンスの調節で、豊かな表現力とダイナミックなレスポンスを実現しています。ゲルマニウム・トランジスタ特有の滑らかで音楽的なトーンや、ギターのボリューム操作に対する追従性、ピッキングに繊細に反応するダイナミクスはオリジナルのフィーリングをそのまま再現しています。

MXR/M236 Super Badass Variac Fuzz

MXR Super Badass画像

シリコン・トランジスタを使用し、内部の電圧コントロール回路(VARIAC)によって、5V〜15Vまで駆動電圧を可変することが可能です。9V以下に消耗した電池を使用した時の、独特なサウンドニュアンスも簡単に再現できます。15Vまで電圧を上げた時には、クリアで激しく歪むファズサウンドが得られます。ピッキングのタッチにもよく反応し、シングルコイル、ハムバッキングのどちらにも使えます。

British Pedal Company/Tone Bender MK2 OC75

BPC Tone Bender画像

1960年代にジェフ・ベック、ジミー・ペイジなどがこぞって使用していた伝説のファズ「Tone Bender MK2」の復刻版。ルックスはもちろん、回路、操作性を完全再現しています。現在では貴重なOC75ゲルマニウム・トランジスタを使用しながらも、内部回路にトリムポットを追加することにより、弱点である温度変化にも対応しています。1960年代にタイムスリップしたかのようなサウンドが魅力です。

タイトルとURLをコピーしました